展覧会『古原汐理「声なき祈り」』を鑑賞しての備忘録ギャラリーそうめい堂にて、2024年2月3日~17日。 岩手県で過した幼少期の経験や言い伝えに着想を得た版画18点で構成される、古原汐理の個展。 《故郷の花》(345mm×280mm)には、頭部から2本の角が突き出た、色取り取りの布を継ぎ合わせた覆面のようなもので頭部を覆った女性が、手向けられた水仙の花に前にする様子を表わした作品。水仙の置かれた台、女性の身体、そして木目を活かした背景はいずれもくすんだ淡い藍色によるモノトーンで表わされ、水仙と色鮮やかな「覆面」が映える。古代の東北において鬼とされ滅ぼされた存在を慰撫せんとする、声なき存在に対す…