民族音楽研究演奏家。1956年東京生まれ。文学座俳優の父、ピアノ教師の母のもとで、幼少の頃から民族音楽に囲まれて育つ。 78年から98年まで吉祥寺にて、日本初の民族音楽専門ライブハウス羅宇屋を経営。世界中の民族楽器を学び、リサイタルやレコーディング、CM音楽、テレビなどで幅広く活動。現在、民族音楽センターにて楽器の販売、指導を行う。 著書も多数。
図書館で借りた本。怪書。 作者の若林忠宏はタモリ倶楽部とかにも出演したことのある民族楽器界隈では有名な人らしい。 3章から構成されていて、第1章が「楽器の種類分けって、どんな?」、第2章が「楽器の歴史」、第3章が「楽器はどのように伝わり拡がっていったのか」となっている。 入門 世界の民族楽器 作者:若林忠宏 東京堂出版 Amazon このうち第1章はたいへん素晴らしい。特に俺の知らないことが大量に記述されているし、楽器の写真も多く、また著者の体験なども混じえて興味深い話が満載である。ここで終わっていれば大傑作。 なのだが、2章と3章は著者の独自の理論なのである。いや、それも悪くはない。というか…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む3 世界史の学習法は人それぞれだろうが、勉強の入口は世界地図を頭に思い描きながら、その地域の統治機構がどのように移行していったのかを辿る方法だろう。だから○○朝ペルシアだとか△△王国など覚えるところから始まる。 ところが本書は、その時代にその地域で演奏されていた楽器にスポットを当てているので、その時代の支配者だけでなく、階級、宗教、民族など音楽のバックボーンになっている状況まで語っている。 また私が3月までやっていた仕事の話。「音楽室は時々祝祭空間になるべき」とかなり本気で考えていたのですが、現状それなりにお祭り騒ぎになるのは4年生の「おどれサンバ」や3年…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む2 音楽の歴史というと、音楽の父母であるらしいバッハ・ヘンデルあたり、1700年代の後期バロックから連なる西ヨーロッパの大作曲家の作品群を連想してしまう。また知識の範囲が特定地域と特定時代に偏ってしまっている。それはやはり鍵盤楽器という一度に最大10の音を自在に奏でることができる最強の楽器が西欧で発達したからであろう。 本書の魅力は、抜け落ちてしまっている音楽史をより広い時代と地域についてフォローしてくれることです。 小学校4年の音楽の教科書に登場して、港南台アカペラシンガーズでも歌っているチェロキー族の「朝の歌」という曲があります。ところが歌詞の意訳は出…
若林忠宏「入門 世界の民族楽器」を読む1 本書は「入門」というタイトルが付けられているが、その網羅する範囲は極めて広く且つかなり深い。およそ世界中で演奏されている楽器を全て紹介しようと試みているかのようです。 この手の図書に出くわした時、私の取る読書行動はつまみ食い方式。箱に雑多に詰め込まれたお菓子を、それぞれ少しだけかじってみて美味しいお菓子だけを堪能する。 まずは、弦楽器の話。ドローンと言えば、空中に浮かんで地上に居ては不可能な撮影を助けてくれる機械というイメージですが、元々は雄蜂の羽音を表す単語で音楽では基調持続のことを言います。弦楽器は、爪弾いたり弓で擦ったりして美しい旋律を奏でていま…
民族楽器を無邪気に愛する皆様をいっぺん絶望と因果の淵に突き堕とす連載「アルダッロ・ツクーリァ」論はぼちぼち総括に入る。あまりの放言愚言に、いっぺん憤怒して、再考を経て這い上がれ。煽り役のメッセージの真意を掴み取ってください。やっぱ長いのでさらに幾つかに分けて更新することにしました。おさらいから。先日ご縁あって譲り受けることになった、まずまずネパールのものと考えてよいであろう型サーランギーの、 おそらくは職人の興から突発的に作られた?変異個体です、たぶん。重量が随分あり、糸巻き周りの造りに甘さ粗さがあることから、 演奏できなくはないが実践に乏しいままオブジェにくすぶってきたものと推察されました。…