地球は丸い。子供ですら知る常識です。しかるに高度な文明を誇った中国においては、ほとんどこの説は知られていませんでした。このことは、中国の数理天文学の水準を考えると驚愕すべき事実だと思います。 一寸千里法とその破綻 中国でも古来、場所によって太陽の高度が異なることは意識されていました。しかし、これを中国では「太陽までの距離が近いからだ」と説明していました。例えば大きな部屋の天井をみあげると、真上は高く遠くにいくほど低く見えます。これと全く同じ理屈です。『周髀算経』には「南に千里進むと八尺の棒(表)の影が一寸短くなる」とする「一寸千里法」が記されています。この距離と陰の長さの比例的な関係は、平らな…