去る6月10日、国立劇場の自主公演「現代邦楽名曲選〜創作の軌跡」の中で、諸井誠作曲の「有為転変」が上演された。三人の演奏者が位置を変えながらアドリブを交えて演奏するこの曲は、1972年、諸井の空間音楽の一頂点とされる「S.M.のためのシンフォニア−伸」(演奏:宮下伸)をレコード化するにあたって、レコード会社(ビクター。当財団の基金元)がB面収録用に委嘱したもので、1973年、『諸井誠 和楽器による空間音楽』のタイトルで4チャンネル・ステレオ(CD-4)方式レコード(CD4K-7518)として発売された。4チャンネル・ステレオとは4台のスピーカーを前後左右に配して聴く立体音響装置のことで、日本ビ…