小菅ジャンクションが、綾瀬川の上空に浮かんでいる。巨大な二匹の蛇が、それぞれの頭を同じ穴に突っ込んでいる。 十数メートル頭上を、何台もの車が走っていく。あの運転手たちは自分らがいま空を飛んでいることを、わかってないのだろうなと思う。飛ぼうが走ろうが、乗り物の中にいたら、深海だろうが宇宙だろうが一緒で、何も見えず何も感じないだろう。 公園の入口となる階段の両脇で、蝋梅は満開だった。大きく呼吸をしてみると、自分の顔全体が、冬の寒さに軋んで痛みをおぼえ、鼻奥の粘膜がひびわれるような気がする。そこへ断続的に、あの爽やかな香りが感じられては消え、微風に応じて、また漂っては消える。 これで冬も終わった、こ…