溝江八男太(みぞえやおた)という、知る人ぞ知る人物がいます。 溝江八男太(若越県友社編(1929)『御大典記念 福井県人之精華』若越県友社 p.65より) 溝江は、『広辞苑』の編者として知られる言語学者・新村出の教え子で、その『広辞苑』の前身である辞書『辞苑』(1935年)の実質的な著者であったとされる人物です。『辞苑』以前の編著書には、『青年文化読本 参考書』(1923年、金港堂)、『女子文化読本 教授資料』(1926年、永沢金港堂)、『公民文化読本 教授資料』(同)といった教師向けの指導書がありました。 新村出が著した『広辞苑』の自序にも「『辞苑』の出版改訂時代の〔中略〕忠実なる編集主任た…