ものすごくわかりやすかった本だった。著者の説明がうまいことと、具体例が豊富であるからだろう。平易な解説ながら、内容は量子力学の基本的なところからファインマン経路積分やベルの不等式、量子コンピュータまで非常に豊富。著者は慶応の商学部の教授。物理を専門としない学生向けに物理の講義を行っているということで、わかりやすい説明が磨かれているのかと思う。 特に5章、量子の群像で、量子力学を記述する方法として、ハイゼンベルクの行列力学、シュレディンガーの波動力学、そしてファインマンの経路積分を数式を交え説明しているところがわかりやすくて良かった。なかなか理解が難しい経路積分だが、粒子には大きさ1の複素数が付…