♦ 「世のため人のために志を持ち、祖父の意志を継いで良医になれ」 小学一年生の時に両親の離婚で辛い思いをしている自分を助けてくれた担任の教師から賜ったこの言葉こそは、「我が師の恩」である。――著者の松岡医師はそう語る。感動的な件りである。(なお、祖父とは本のタイトルにある信州松本の赤ひげ先生、松岡伊三郎医師のことである。) ♦志と言えば、著者は母校である伝統校、松本深志高校のことを紹介する中で、この高校には「志や原点を曲げないほうが、幸せと感じる卒業生が多い」と言う。例えば、自分の志を曲げて罪悪感に苛まれる者がいる一方、出世の道を断たれることになっても志を貫く者もいるとのことである。ともあれ、…