『風で寝床に臥せりながら、上原和著「斑鳩(いかるが)の白い道のうえに」と言う本を読んだ。』と言う書きだしで始まる「天声人語」の文章が深代氏の絶筆となった。この本は聖徳太子の悲劇を描いた本である。その一族は皆殺しにされるという悲惨な運命をたどるが、その太子ゆかりの「法隆寺」をもう一度訪ねてみたいと、この筆者は「天声人語」を締めくくっている。風邪で臥せっていると言いながら、この人は何故か自分の病気のただならぬことを薄々気づいていたのではないかと、思わせられる。・・・・また、この人は、大佛次郎の絶筆についても、天声人語に書いている。当時朝日新聞に連載されていた天皇の世紀と言う大作、まさに、大佛次郎が…