シリーズ「津軽・弘前を旅する」の記事は、近代化を象徴する建物で締めくくることにしよう。まずは経済の血液ともいえる金融の分野、その中で中核をなす銀行から始めることにしよう。もうすぐ、渋沢栄一が新一万円札になって登場する。銀行には、一万円札を発行できる日本銀行と、我々がお金を預けたり貸したりすることのできる市中銀行が存在する。渋沢栄一は、最初の市中銀行である第一国立銀行*1を設立した。国立銀行となっているので、国が設立した銀行と錯覚してしまうが、ここは国の法律*2によって立てられたという意味で、第一とともに、第二・第四・第五の4行が設立された(第三は手続きが遅れた)。明治9年(1876)の国立銀行…