扇子、釈台、張り扇。 講談の人気が復活しているという。新しいスターが若い観客に支持され、その勢いで古参の芸が今さらながらに評価されているのだろう。歓ばしいことだ。 三十代なかばの、まぁキャリアウーマンというのか、自信ありげな女性から説教されてしまった。酒場での、いわば定連仲間だ。寄席の芸人さんがたを知らずして、現代を語れないという。寄席よりも、大ネタを端折らずに聴けるホール公演や独演会がお奨めだという。寄席はミーハー相手の顔見世みたいなもんで、耳が肥えた客には物足りないのだという。(やれやれ……。寄席をご存じないお嬢チャマだ。) 今度、売れっ子の見巧者を連れて来るから、まずは話してみろという。…