・悟りの爆発・悟りとは 私は礼拝して参禅堂である本堂から出ようとする。その時、後ろから老師が静かな太い声でつぶやいた。 「見解はそれでよい。が、爆発じゃ」 その時である。その瞬間である。突然、私も老師も、この寺の本堂も何もかもがぶち抜けたのだ。すべてが開かれたのだ。天地いっぱいに広がる歓喜が開かれたのだ。私は隻手の音声そのものであった。すべてが隻手の音声の中にあった。否、隻手の音声でさえない。あたり一面は、存在それ自身の光明に満ち渡っていた。虚空を歩いているような自由が感じられ、歓びは限りなく満ち渡り、こみあげてくるのだった。私は境内(けいだい)に出た。夜で、月明かりの中に庭や記念碑や前の道路…