雨月物語の一篇。 今の千葉県松戸あたりが舞台で、京にのぼり一儲けをたくらむ勝四郎という男が、妻・宮木をひとり残し、出立してしまうが、妻は一途に待ち続ける。戦乱のため戻れず7年が過ぎ、勝四郎が再び戻ってきたとき、7年前と変わらず、妻は彼を歓待する。そして両者は同衾するが、朝起きてみると妻の姿はなく、家も荒れ放題だった。家の奥には塚・・・勝四郎は、妻・宮木がすでに死亡していて、ただただ夫に会いたいがため、一夜を設定したことを知る。
本日の朗読.mp3は上田 秋成の名作雨月物語 【古典朗読】現代語訳 雨月物語(2)「浅茅が宿/夢応の鯉魚」/(作)上田秋成(訳)鵜月洋 www.youtube.com 【古典朗読】現代語訳 雨月物語(4)「蛇性の婬」(作)上田秋成(訳)鵜月洋 www.youtube.com 昨夜この映画を観て面白かったので、朗読も聴く気になった。 やはり、古典にハズレなしだわ。 雨月物語 [原作との対応]より引用させて頂きます。短編集形式の『雨月物語』からの2篇、「浅茅が宿」と「蛇性の婬」が原作である。「浅茅が宿」は、行商に出た男が数年ぶりに帰ると、我が家から微かに光が漏れており、出迎えてくれた妻と一夜を共に…
眺めているだけで時間が過ぎていく 日本人は昔から血みどろ、幽霊、妖怪、怨霊が好きだった 浮世絵愛好家じゃなくても楽しめる一冊。 オススメ:⭐️⭐️⭐️⭐️
映画の雨月物語が面白かったので、あらすじくらいしか把握していなかった原文の雨月物語をあらためて読んでみましたところ、日本型ドラマのオリジン感、純粋に面白い部分を抽出して蒸留したような透明感が際立つ面白さでかんたんしました。 「読む能」とでも言いますか。 古典の文章に抵抗がなくて、短編の物語文を読みたい場合は雨月物語めちゃくちゃいいんじゃないでしょうか。江戸時代の文章なので平安期や鎌倉期ほど単語や文法も難しくないですし、この本には質の高い脚注もついているので理解が容易ですし。 有名武将もちらほら登場するので、戦国時代好きの人にもおすすめですよ。 www.iwanami.co.jp 雨そぼふる薄暗…
雨月物語 [DVD]京マチ子Amazon 能の謡いをバックにオープニングのクレジットが流れ、本編の舞台になる琵琶湖畔の集落にカメラが移動して行くときも、まだ少し能の謡いの音がかぶっている。この、オープニングから本編へとかぶっていく感じが絶妙で、この「引きずる」感覚がそのまま一気にラストまで引っぱっていってくれる思いがした。 しかしこの100分弱の作品で、物語にまったく澱みもなく、起伏に富んだ展開を一気にみせてくれるのは「まさに映画とはこういうもの」という思いにもとらわれてしまう。素晴らしいのだ。たしかにここには「映画表現の理想的なかたち」があるのではないか、とも思えてしまう。 まずは湖のほとり…
11/11(土)12:00~、11/12(日)13:00~ @梅田芸術劇場 基本的にOG公演は杜けあきさんが出演されるものしか見ない、というスタンスを取っているため、2年前にあった花組と月組の100周年記念公演は見ていません。 ただ2組合同でやったものを今回雪組だけで上演して大丈夫だろうか、といういらぬ心配はしていました。 でも、花組、月組の合同公演との比較はできませんが、とりあえず私は「大満足」でした。 こういうのはお祭りですし、配信と合わせて3回見て思ったのは、出演者によってその公演がかなり違う、ということでした。 特に2日目のDreamバージョンの2部はほぼ普通にショー! 客観的に見ると…
『崖の上のポニョ』(2008)監督:宮崎駿(11/4) 実は初見。内容をほぼ知らずに観たんですが、こんな不穏な映画だったの?魚が魔法の力で人間になって好いた男の子と一緒になる、というメルヘンチックなストーリー、可愛らしいキャラクターに絵本のような美術、華麗な動画。にもかかわらず最初から最後まで薄ら怖ええのは一体なぜなのか。ちょっと言語化しにくいですが、現代の日本が舞台でディティールも日常のそれなのに、どことなく浮世離れした雰囲気があり、そのズレがどうにも不穏。特に街が水に浸かった後半から「じつはこれ全員死んでんじゃねえか?」と思うようなあの世感が画面のはしばしからにじみ出ています。ポニョは大変…
10月は2回+αです。 10月頭 浅草 10月結 渋谷 番外・10月結 高円寺 かにまろちゃんと行くストリップごはん きもの
※ストリップを取り上げた文章です。性的な話題への直接言及はありませんがご留意願います。 ※演目の内容に触れています。 ◼️7月頭 渋谷道頓堀劇場 渋谷道頓堀というか浅草以外のストリップ劇場初めてだった。客同士も/客も演者も膝を突き合わせるような距離感で、しかも円舞台は迫り上がる!引きで舞台を眺めた初見は梁が近くてやや窮屈な印象に思えたけれど、座席に着いて舞台を見上げたときの迫力は段違いだ。 4番目の浅葱アゲハさんと5番目の赤西涼さんが特に良かった。 浅葱さんの演目は刑事と人魚の二種。それぞれ別種のエアリアルを用意していて、刑事の方はフープだった。この規模の劇場でぐいんぐいんフープをブン回す姿は…
1)第1段 後半 要旨 願わしき、あらまほしき視線を、個々の人々に向けます。容貌・身なりの大切さ、心持ちのよさや愛嬌よきことの好もしさ。身分は固定ながら、心の賢さを求めるのは身分に関わらないと言い、無教養はよくなく、学識・教養を身に着け、宮中の諸事に明かるければ言うまでもないと語り、字が上手で声も良くてノリもよく、(酒を飲むのを)難儀そうにみせつつも下戸で無いような男はいい、などと述べます。 一読して感じるのは、兼好の眼差しの繊細さ、感性の鋭さです。立派そうに見えた人がそうでもなさそうな素振りに敏感に反応したり、本来はもっと丁寧に扱われるべき人が少し零落れて身分の低い人たちからも蔑ろに扱われて…
痛いニュース(ノ∀`) : 画材費1100万円を貰い真っ白なキャンバスを納品 タイトルは「金の持ち逃げ」 - ライブドアブログ これぞ実に前衛芸術。個人的に「4分33秒」とかの人を食ったような作品は大好きです。 最近やたら人気の観光スポットになりつつある浅草ロック座の「まつろわぬもの」を観劇。基本的にエロ方面の感想記事は自粛してたんですが、今回は構成に語りどころが多かったので感想以下箇条書き。なお流石に下方面の感想は自粛しますのであしからず。 全体の構成として、「まつろわぬもの」のテーマ直撃の題材*1をエース級に、能の演目*2を実力派に、色物*3を若手にってバランスよく配置してあって気付いた時…
GBPJPY L. よろづのことも、始め終りこそをかしけれ。男女の情も、ひとへに逢ひ見るをば言ふものかは。逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとり明し、遠き雲井を思ひやり、浅茅が宿に昔を偲ぶこそ、色好むとは言はめ。望月の隈なきを千里の外まで眺めたるよりも、暁近くなりて待ち出でたるが、いと心深う青みたるやうにて、深き山の杉の梢に見えたる、木の間の影、うちしぐれたる村雲隠れのほど、またなくあはれなり。椎柴・白樫などの、濡れたるやうなる葉の上にきらめきたるこそ、身に沁みて、心あらん友もがなと、都恋しう覚ゆれ。 すべて、月・花をば、さのみ目にて見るものかは。春は家を立ち去らでも、…
「新釈雨月物語」石川淳 角川文庫 1994 上田秋成「雨月物語」の石川淳による現代語訳、ではなくて新釈、というのは、解説によれば、原文がほとんどそのまま残ってゐる部分があったり、あるいは削ったり、逆に足したりということを自在におこなって出来上がったものだから。 原文を読んだことがないので石川淳がどのような操作をくわえたのかわからないが、傑作だと思った。古語もあちこちに出てくるので自分には意味が取れないところもあったが、文の調子に乗ってしまえばそんなもの気にならないし、気にしてはいけない。そう思って夢中になって読んだ。文の藝の凄みに、本を持つ手がふるえた。 (こういう作品は現代仮名遣いに改変せず…
(SKYFALL 4/4からの続きです。)つーわけで、ここから6月30日に書いた分↓超絶マニアエントリーNo.1まがったことが だいきらい~は~ら~だ たいぞうです♪ (@笑う犬の生活)そう 原田泰造ではなく ご存知、宮中の暴れん坊こと 藤原定家くんです。(笑)定家くんと言えば とある公家と口論になった際に あまりにもムカついたのか 相手に燭台を投げつけるなどして 一時期、宮中参内禁止になったほどの(笑) キレると危険印な ときどき直情型な一面を持ちつつも、パパの俊成卿譲りの 歌の才能は超一流で、カリスマ的な存在となって 後に「新古今和歌集」の選者の一人となったほどの人です。私が見るに 定家く…
(SKYFALL 3/4からの続きです。) 「源氏物語」の「雲隠」の巻、 この巻でヒカルくんは 死んでいます。あとの「宇治十帖」は 柏木と女三宮の子供、薫の大将と 紫の上の養女となった明石の姫君(中宮)の子供、匂宮の二人が主人公ですが、 この「宇治十帖」が またパッとしないんです。(笑)小学生のときに 初めて読んだときに、 「あれ?これ続編?」 って思ったくらい 中途半端なんです。でも、巻名は 今までの巻と同じ付け方 (タイトルフェチの私が言うのだから間違いない(笑))なので、 恐らく、 雲隠→削除 宇治十帖→改作 みたいな感じなのかな と。雲隠の巻に関しては、 「源氏」の最古の注釈書(鎌倉時…
今回のライブはメンヘラに刺さる曲というコンセプトで選んだ曲が4曲あったので、この4曲をどういうふうに歌おうか?ということに大半の労力を割いていました。 何をベースにこの4曲の表現を組み立てていこうか?と、西遊記の羅刹女を読んでみたり、雨月物語の浅茅が宿を読んでみたり、シェイクスピアを噛じってみたり…ちょうどあかね噺で真景累ケ淵の豊志賀の死をやっている頃合いでそれもすごく面白くてよいと思いはしたのですが、生憎落語は聞いたことしかありませんでして、落語を人前で演れるクオリティに仕上げるには期間が短すぎるし歌の練習もせねばならないため、どうしたものかと思案に暮れておりました。 そんなときふと、U-N…