体育皇后 (1934) 小津安二郎の「非常線の女」(1933)は、モダン東京の風俗とからめつつハリウッドの暗黒街映画をなぞった作品だった。同監督の「大学は出たけれど」(1929)は昭和金融恐慌下の世相を喜劇として描き、どちらもモダニストとしての才気にあふれた佳作だ。 前にとりあげた伏水修の「東京の女性」(1939)も発火直前の時局を考えなければ、どの時代にも通用するワーキング・ガールの物語として楽しめるものだった。 これも以前に紹介した孫瑜監督の「体育皇后」(1934)は、スポーツの本質をさぐりながら日本の侵略と闘う女性の役割を主張するすぐれた娯楽映画だった。 映画は近代技術の先端をいくもので…