三人の肖像写真家 今回は、以前当ブログで『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』を紹介した多木浩二の本をもう一冊紹介しよう。 pikabia.hatenablog.com 今回取り上げる『肖像写真』(岩波新書)は、美術、写真、映画、建築など多彩な分野の批評を残した著者の晩年の新書で、理論的な著作というよりは批評的エッセイという感じで読みやすい一冊だ。 肖像写真―時代のまなざし (岩波新書) 作者:多木 浩二 岩波書店 Amazon この本ではナダール、アウグスト・ザンダー、リチャード・アヴェドンという三人の著名な肖像写真家を取り上げ、それぞれの写真の違いを通じて、写真の発明からおよそ一世紀…