関西地方に住まうものにはとくによく知られているように、信太の森 (しのだのもり) は大阪府和泉市にひろがる、古来よりいまに至るまでつづく悠久の森だ。 「森は信太の森」と清少納言が枕草子において称えたそこにも、しかし近年においては開発の波が押し寄せて、信太山丘陵の斜面にも家々など建ち並び、豊かな自然はすこしずつ浸食されるに及んでいる。 しかし、人々がこの地に魅了され集うのは、故なきことではないのかもしれない。 はるか昔より、そこでは日々の営みといえるものが盛んにおこなわれていた。 信太山丘陵をくだってすぐのところには、国内屈指の規模を誇る弥生時代中期の環濠遺跡、池上・曽根遺跡が間近にせまっている…