1907-1998 昭和時代の詩人・歌人・精神科医。愛知県出身。慶應義塾大学卒。 明治40年4月21日生まれ。シュールレアリスム運動に加わってのち、1951年、詩誌『暦象』を創刊する。1975年、『前衛詩運動史の研究』(大原新生社)で日本詩人クラブ賞。精神科医でもあり、武蔵野病院で太宰治の主治医をつとめた。おもな著作に『古賀春江:芸術と病理』『モダニズム詩の時代』『稲垣足穂の世界』編著に『近藤東全集』など。
1986年1月、宝文館から刊行された中野嘉一(1907~1998)の評論集。 本書は十年程前に出した『前衛詩運動史の研究』モダニズム詩の系譜(大原新生社刊・昭和50・8)以後に書いたエッセイ・ノートの類をまとめたものである。本書にも私自身の詩的体験を根底に、日本の前衛詩、モダニズム詩の歴史に関わる論考が多く集められている。 Ⅰ「モダニズムの詩人たち」の章は、前衛詩運動の展開を促したバックボーンとみられる季刊誌「詩と詩論」、その系統の「詩法」「新領土」そのほか「VOU」などの詩誌によって活動したモダニズムの詩人たちを対象とし、ほぼ同時代にあった私自身の個人的な感想ないし批判を試みたものである。 …
1991年10月、宝文館出版から刊行された上田修(1915~?)の詩集。装幀は城尚衛。著者は東京生まれ、刊行時の著者の住所は品川区東五反田。 そして半世紀が過ぎ去った。 中野嘉一先生の「前衛詩運動史の研究」――モダニズム詩の系譜を何回も拝見しているうちに、自分も参加していた「マダム・ブランシュ」「20世紀」「新領土」の項のところで、ありありと若い頃の今は亡き友人詩人達が想い出され、彼等のタマシイのために詩集を捧げたいと思った。 そしてこのスープニールを詩史的に意味のあるものにするため、中野嘉一先生の序文がいただけたらなあと強く思った。 図々しくも先生に手紙を差しあげ序をお願いしたところ、おいそ…