主に昆虫やクモ類などに寄生する、Cordyceps、Torrubiella 近縁菌とその不完全世代の菌類が虫草とよばれている。少数の種類ではツチダンゴや麦角、植物の実に発生する。
日本では伝統的に「冬虫夏草」という言い方が、これらを漢方薬として利用する者の間で広く流布し、研究者のあいだでもこの言葉が用いられてきた。
しかし本来の冬虫夏草は Cordyceps sinensis (Berkeley) Saccardo という種のみに当てられたものであり、混乱を引き起こす恐れがあった。
そこで生物群としての Cordyceps 近縁菌を指す言葉として、故・小林義雄博士が中国から輸入した「虫草」という名を提案した。