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La lengua de las mariposas スペイン映画。1999年。
監督ホセ・ルイス・クエルダ。原作マヌエル・リバス。スペイン内戦(1936年-39年)をテーマとした物語。
8歳の少年モンチョが大好きな先生と出会い、大自然の驚異に触れながら成長し、やがてスペイン内戦という悲劇的な時代に直面するまでを描いた運命の物語
86. 岸本尚毅『文豪と俳句』(集英社新書) 再読したい度:☆☆☆★★ 小説家の詠む俳句を、作者の小説や考え方、性格と照らし合わせながら解釈を与えた一冊。とりあげられた作家は11名。せっかくなので全員の特徴を例句を交えながらまとめる。 幸田露伴(こうだろはん) 俳句を精妙に仕上げる才能において、龍之介の足元にも及ばないといわれる。しかし、文人としての全人格をもって、作り手としてのみならず、読み手として俳句と向き合ったこと、俳句が家族との絆になったことが、彼と俳句との重要な繋がりであった。 蘆(あし)いまだ芽ぐまず春の水しよろり 「しょろり」はわずかな水がかすかに流れているさま。オノマトペへのこ…
『沙鷗』は、山西雅子さんの第二句集。2009年8月、ふらんす堂発行。 中田剛さんの栞文によると、句集名の「沙鷗」は、杜甫の五言律詩「旅夜書懐」の最終行「天地一沙鷗」から取られたとのこと。とても良い句集名である。 板の間に蝶の映れる極暑かな 障子を開いた和室の板の間に、外を飛んでいる蝶の姿が映っている。「極暑」の強い日差しと室内の薄暗さが感じられる。芥川龍之介の〈蝶の舌ゼンマイに似る暑さかな〉を連想した。 藤の香のせり上がりくるなぞへかな 「なぞへ」とは斜面のこと。山中にいて、藤の香が強く漂ってきたのだろうか。「せり上がりくる」という強めの把握が、藤の香に全身が包み込まれるようで面白い。 石鹼玉…
夏井いつき『句集 伊月集 鶴』(朝日出版社)を読む。マスコミに出演して人気のある俳人の50代の句を集めた句集。繊細なものへの気づきが見事だと思う。 龍角散みたいに冬の日の匂ふ 馬臭き氷を育てゐるバケツ 水は球体そらも球体春もまた 隠居所の伊万里の便器梅の花 蝶の舌ふれたる水のびりびりす 木蓮の愁いの器たるかたち 牛の血に太れる金の虻の腹 卵管を卵子は麗かに進む 二つ目の月産み落としさうな月 荻はみな弔旗のごとくひるがえる 秋蝉の羽浮く水に手を洗ふ 興味深い句を拾ってみた。こうしてみると、句のキモである新鮮な視点、意外さには優れているけれど、何か深みが足りない印象がある。私の考える深みとは矢島渚…