続けて『釣りの四季』『シャボテン』と誠文堂新光社の趣味実用書といっていい「豪華版」を取り上げてきたが、これらの企画者と思われ、奥付発行者とある小川誠一郎は言及してこなかった。誠文堂新光社の小川菊松の長男の誠一郎は菊松の『出版興亡五十年』において、「長男誠一郎の召時の社前の光景」が掲載されていたし、昭和十六年の中国での自動車事故で重傷を負い、その後戦地にいかずにすんだことが語られていた。それに彼は『出版人物事典』でも立項されていたのである。 [小川誠一郎 おがわ・せいいちろう]一九一三~一九七七(大正二~昭和五二)誠文堂新光社社長。慶大卒。誠文堂新光社創業者の父・小川菊松が一九四六年(昭和二一)…