序文・下級武士 堀口尚次 徒士(かち)は、徒歩で戦う士分格を持つ武士を指す。騎乗身分ではない。江戸時代には主君に仕える下級武士に当たる。 戦場では主君の前駆をなし、平時は城内の護衛〈徒士組〉や中間管理職的な行政職〈徒目付、勘定奉行の配下など〉に従事した。徒士は士分に含まれるので、士分格を持たない足軽とは峻別される。したがって近代軍制でいうと、下士官に相当し、兵ではない〈なお騎乗身分の侍=馬廻組以上 は士官に相当する〉。徒士・足軽による徒歩戦闘を徒戦(かちいくさ)と呼ぶ。 江戸幕府における徒歩組(かちぐみ)は、徳川家康が慶長8年に9組をもって成立した。以後、人員・組数を増やし、幕府安定期には20…