叙述トリックの代表作品 以前にも書いたことがあるのですが、最近の推理小説は、読者をどれだけ驚かせることができるのか、どれだけ未知の展開に持っていくことができるのかを勝負している作品が多くなりました。だから、読者は皆、騙されたい、裏切られたいと思いながら小説を読むようになってしまったのです。本作『烏に単は似合わない』は、そんな新時代の推理小説の幕開けを作った作品の筆頭と言ってもいいでしょう。推理小説どころか、恋愛小説、時代小説、異世界ファンタジーといった多岐にわたるジャンルの常識、そのすべてを覆す作品でもあります。購入した当時は、帯に「予想を裏切る」と書かれていたので、どれだけ裏切られるのか?と…