哲学者、筑波大学名誉教授。1941年石川県生まれ。1964年金沢大学法文学部哲学科卒、1965年金沢大学助手、69年石川工業高等専門学校講師、79年秋田大学講師、87年筑波大学助教授、91年教授。90年「相補性の哲学的考察」で筑波大学文学博士。2000年「転形問題論争史論」で東北大学経済学博士。2004年筑波大定年退官、名誉教授、流通経済大学教授。
最近インターネットである記事を読んでいたときに、クリプキの「ウィトゲンシュタインのパラドックス」における議論が、ルールの改定を含意してるかのような言い方をしているのが目についた。これは端的に間違っているので困ったなと思ったが、この話は前々から書きたいテーマと結びついているので、試しにここで論じてみようと思う。 クリプキの議論にはルールの変更が含意されているのか? クリプキが「ウィトゲンシュタインのパラドックス」で提示したクワスの議論は、クリプキによる独自のウィトゲンシュタイン解釈を示すものとして知られている(時にクリプケンシュタインと揶揄的に呼ばれる)。クリプキの議論は、規則に従うこと(rul…