工事が終わって、一同はほっとしたものの、手術と同じで成功したかどうかは年を重ねてみないとわかりません。ダムの底に沈む予定の桜が移植されたというニュースは、荘川村から移転した元村民の人たちにも伝わっていました。が、その反応は冷ややかなものだったといいます。 「あんなふうにして移植しても、桜は死んでしまう。(中略)がんじがらめにして道路から見えるところで殺すなんて、可哀想なこっちゃ。(中略)念仏唱えて往生させてやったほうがよかった。」 元村民たちにしてみれば、ほとんど幹ばかりとなり、筵で巻かれた日本の桜の姿に衝撃をうけたのでしょう。笹部さんはその反応について次のように書き残しています。 「移植の結…