南朝研究の最前線を読んだ。日本史料研究会の「研究の最前線」シリーズの一冊で、近年の南朝研究の成果を紹介している。本書の初めでも述べられているが、南朝とは何とも捉えがたい存在だと思う。南朝が正統であるとされているが、実態は南朝は負け組であり、正統ではない北朝の末裔が現在の天皇に繋がっているというこの矛盾を一体どう理解したらいいのか、私には未だによく判らない。 朝廷は、後醍醐以前から改革に積極的だった 中井裕子 幕府と朝廷の存在する時代、殊に鎌倉時代の国家体制というのは未だにどのようなものであったかよく判らないのだが、未だに研究者の間でも意見が分かれているようだ。説としては主に二つあり、一つは「複…