『法華経』現代語訳と解説 その21 妙法蓮華経五百弟子受記品第八 その時に富楼那弥多羅尼子(ふるなみたらにし・注1)は、仏からこの智慧と方便について詳しく説かれた説法を聞き、さらに、多くの大弟子に、阿耨多羅三藐三菩提を得るという記が授けられたこと、また前世の因縁を聞き、また諸仏が大いなる自在の神通力を持つことを聞き、未曾有のことを得て踊り上がるほど喜び、即座に立って仏の前に進み、仏の足を頭につけて礼拝し、片隅に座って仏の顔を目をそらさずに見上げ、次のように思った。「世尊は不思議な力をお持ちで、その行ないは非常に優れている。世間にいる人々の能力の違いに従って、方便の知見を用いて教えを説かれ、衆生…