ついにやってきました。朝霧の巫女と稲生物怪録を追いはじめて十数年、完結してから十年をえての訪問です。 まずはJR三次駅から。作品の順序から言えば太歳神社に行くべきなのだろうけれど、自分にとってこの作品は世界の境界を巡る物語。 現世と幽世を隔てる場所から旅をはじめることができたのは感慨深い。 次は高谷山展望台。登った途端になんと雨が降り、もうもうと霧がたちこめた。第一巻の「霧にのみこまれて、透明にすいこまれるかんじ」がわかる。最初は原作の風景をこの目で観ることができたら……くらいの気持ちだったのだけれど、まさかその風景そのものがあらわれてびっくりしてしまった。 前日譚の妖の寄る家が柳田國男風だっ…