第六章 十界互具の文を引く <本文> 問う。法華経はどのような文で、天台の釈はどうなってるんだ。 答える。法華経第一の方便品に「衆生をして仏知見を開かしめんと欲す」とある。これは九界所具の仏界のことだ。寿量品には「このように我は成仏してから今まで、はなはだ大いに久遠という長い時を経た。寿命は無量阿僧祇劫にして、常住にして滅することがない。諸の善男子よ。我はもともと菩薩の修行をして、成就したところの寿命は、今なおいまだ尽きていない。また上の数(五百塵点劫)に倍している」等云々。この経文は仏界所具の九界をあらわしている。 経には「提婆達多は天王如来になる」とある。地獄界所具の仏界をあらわす。経には…