さて続きです。 ネタバレします。 (参) 彰義隊はすでに三千名を越え存在そのものが巨大な反政府勢力とみなされていたが、彼らには新政府を倒し幕府の再建を謀るという所思はなくしいて言えば「義憤」が彼らの原動力にすぎなかった。 しかし数度の解放勧告を拒否するうち、初志とかけ離れた軍事的組織へと変貌していく。 福原悌二郎は上の寛永寺彰義隊屯所へと向かった。 ここで悌二郎は秋津極の除隊を頼むつもりだったが逆に入隊したまえと誘われてしまう。 そう言ったのは森篤之進、二十四歳。体内穏健派の川村敬三の懐刀である。 川村らは戦争回避のために派遣されていた。主戦論を持つ強硬派を危ぶんでいた。 福原悌二郎のような論…