先日、悲しいニュースが飛び込んできた。かねて療養中だった猿翁が亡くなった。八十三歳だった。残念でならない。大体男性の平均寿命くらいだろうから、歳に大きな不足はないと云えばそうかもしれないが、あの事件がなければ・・・とつい考えてしまう。痛恨の極みだ。 猿翁と云えば、云わずと知れた歌舞伎界の革命児。大掛かりな宙乗りを取り入れたスーパー歌舞伎を作り出し、五千回も飛んだ事はギネスにも記録されていると云う。筆者は個人的にスーパー歌舞伎と歌舞伎は別物と考えてはいるが、歌舞伎と云う演劇の一つの側面の可能性を大きく広げ、「ここまでやってもいいんだ」と認識させた功績は極めて大きい。亡き勘三郎の「何でも歌舞伎役者…