「市民社会の解剖学は経済学のうちにもとめられなければならない」としたマルクスは、主著『資本論』において詳細な「市民社会」の解剖図(あるいは「資本制社会」の超音波画像)を提示した。しかし、その解剖図は難解である(あるいは超音波画像は不鮮明である)。 なにしろ、知謀家・レーニンをして、「ヘーゲルの《論理学》全体をよく研究せず理解しないではマルクスの《資本論》、とくにその第1章を完全に理解することはできない。したがって、マルクス主義者のうちだれひとり、半世紀もたつのに、マルクスを理解しなかった!!」と言わしめるほどのものなのである ―― それでは、『資本論』出版から150年余の今日。果たして、ヘーゲ…