量子力学の講義を始めたころ、基礎固めのためヒルベルト空間論関係の数学の本を読んでみた(「微分方程式と固有関数展開」(小谷眞一、俣野博著、岩波書店)。昔知っていたことの整理程度にはなったが、始めて知る内容になると興味が続かなくて眠たくなった。具体的に使う必要がなければもう数学の本は読めない頭になってしまっているような気がする。 ただ、「可分」の概念が最初のうちに自然に説明されていたのはうれしかった。この本が50年近く前に出版されていたらフォン・ノイマンの「量子力学の数学的基礎」をもう少し読み進められたかもしれない。 フォン・ノイマンの「基礎」では量子力学の展開される関数空間(ヒルベルト空間)は可…