《ご存じのように、太平洋戦争では日本は見る影もなく撃ち破られるのです。昭和19年(1944)7月にサイパン島が陥落し、もはや太平洋戦争に勝利はないと確定した時、作戦課長であった服部卓四郎大佐はこう言ったといいます。 「サイパンの戦闘でわが陸軍の装備の悪いことがほんとうによくわかったが、今からとりかかってももう間に合わない」 何たることか、ノモンハンの時にすでにわかっていたではないか、と言いたくなるのですが、いずれにしろ日本陸軍はこれだけの多くの人をホロンバイルの草原で犠牲にしながら何も学びませんでした。 昭和史の流れのなかで、ノモンハン事件そのものは転換点的な、大きな何かがあるわけではないので…