あなたに犬がそばにいた夏 作者:岡野大嗣 ナナロク社 Amazon 私は短歌が好きである。 俳句でも川柳でもなく、なぜ短歌が好きかと言うと、やはりその文量が丁度いいのだろう。俳句だと季語が入ってくるので、何かを表現するのに強い制限をかけられている気がする。川柳は、いわゆる「サラリーマン川柳」のようなもののイメージが強くて、滑稽なものを読まなければならないのではないかと力んでしまう。その点、短歌は適度に自由だし、季語もなく、また定型詩としての小気味いいリズム感がある。自然と言葉が出てきて、意図しない結びつきが見れたりするのが、気持ちいいのである。 しかし反面、歌集というものの評価は難しい。そもそ…