「手放す」って、簡単なようでいて、一番難しいことかもしれません。 何かを失うような気がして怖くなるし、「自分が頑張らなきゃ」と思うほど、手放すことに抵抗を感じてしまう。 でも、私が老人ホームで働く中で気づいたのは―― 本当に大切なものほど、ぎゅっと握りしめすぎると見えなくなってしまうということでした。 ある日、長くお世話をしていた入居者様が静かに息を引き取られました。その方はいつも「ありがとう」が口癖で、スタッフ一人ひとりに優しい笑顔を向けてくださる方でした。 私は最後の瞬間までその方のそばにいて、「もっと何かできたんじゃないか」と自分を責める気持ちが止まりませんでした。 翌朝の勤務でも、胸の…