冒頭の1ページに、「Fair is foul, and foul is fair」というシェイクスピアのマクベスからの引用と、その和訳(「きれいは汚い、汚いはきれい」、「いいは悪いで悪いはいい」など)が、いくつか並んでいます。もう、この時点で、「変わった小説だなぁ」という予感がします。主人公は、野球の天才で、彼が産まれるところから始まり、各章は、彼の年齢となっていて(はじめが「0歳」、次が「三歳」、その次が「十歳」といった具合に)、その年齢での出来事が描かれています。三歳から、野球の才能を見せ始めるのですが、その「三歳」の章から、語り手が変わります。早くも、このあたりから「おや?なんだか普通の…