昨年3月、107歳で逝去した篠田桃紅の「長きにわたる活動の全貌を紹介するとともに、その広い射程と現代性を今日的な視座から検証する」展覧会が、東京オペラシティ アートギャラリーで6月22日水曜まで開催している。 彼女の名を私は「桃江」だと思い込んでいた。 彼女の作品にはどこか水を感じさせるものがあるから…というのはただの言い訳だが、先日目にした彼女の随筆には次のように書いてあった。「私の作るものに私は自ら『涌』『澄』『井』『泉』『漲』などという題をつけていることが多い。「あそぶ」と題したい時も「游」と、さんずいの文字を自然にあてている。私は水墨の仕事をしながら、心の底の底で、幼い日の水遊びに還り…