昨年ノーベル文学賞を受賞したハンガンさんの新訳『涙の箱』(評論社)を読みました。人の涙をめぐる清らかなストーリーだと思います。帯に「大人のための童話」とありますが、(小中の)子どもが読んでも、それなりに心に響くものがあると思います。情感に分け入った経験があれば、なお胸にしみる感じがします。 小生には「涙」よりも「涙を流す(泣く)」ということ、もっと言えば、「涙をこらえる」ことの意味を考えさせられました。というのは、最後に「純粋な涙」を流す女の子が「涙をこらえる」シーンがあって、話の流れからすると、何となくこの女の子の成長を予感させるのですが、これを「おとな」になることと結びつけようとすると、い…