殻つきの生うにが来た。吉浜食堂の店主は漁師である。三陸で朝採ってきたものをそのまま夜に出すのでうにがぴかぴかしている。スプーンで掬って何もつけずに食べる。きゅぴーん、という音がする。そういう、発見に似た驚きがいつ食べてもある。はじめてのうにを食べるおりょうちゃんは、おそるおそる口へ運んだ。「うわっ」おりょうちゃんのからだは、ぴん! とまっすぐになり、そのあとゆっくり、ぐにゃぐにゃになって椅子の背に凭れた。「めちゃくちゃおいしいんですけど」(くどうれいん『うたうおばけ』講談社文庫、2023) こんばんは。めちゃくちゃ行きたいんですけど。そう思って「吉浜食堂」を画像検索したところ、めちゃくちゃおい…