「宮様がおいでになったころ、 私の結婚相手が悪いからって、 交際するのをおきらいになったものですから、 私らもついかけ離れた冷淡なふうになっていましたものの、 それからも こちら様は源氏の大将さんなどと 御結婚をなさるような御幸運でいらっしゃいましたから、 晴れがましくてお出入りもしにくかったのです。 しかし人間世界は幸福なことばかりもありませんからね、 その中でわれわれ階級の者がかえって気楽なんですよ。 及びもない懸隔のあるお家《うち》でしたが、 こちらはお気の毒なことになってしまいまして、 私も心配なんですが、近くにおりますうちは、 何かの場合に力にもなれると思っていましたものの、 遠い所…