昭和60年のこと。ある学校の講師室でF先生との話し。 F「のりも君、『酉の市』って知ってる?」 私「え?どこかで鳥肉の大安売りでもしてるんですか?」 F「ははは、そうだろうね。根っからの関西人だね、あんたは」 私「あれ、ちがいました?」 F「このとりは、暦でつかう酉、酒っていう字の、さんずいが抜けた酉なんです。 芭蕉門下の其角がね、 『春を待つ事のはじめや酉の市』 って詠んでるんですよ。 つまりね、旧暦でいう冬のおわりごろという11月の酉の日の、 五穀豊穣、商売繁盛を祈るお祭りなんです。 だけど、この酉の市っていうのは、主に関東の神社で催される祭事でね、 関西とくに大阪の人間には、あまりなじみ…