(53)「“弟” のケンタくん」 私がまだ幼稚園に通っているころ、親戚のケンタくんが私の家に住んでいたことがありました。私の2歳くらい下でした。 初めてケンタくんが来たのはもう暗くなる時間で、みんなでうどんの夕食を食べていたときです。 ケンタくんを連れてきた私の父が 「今日から一緒だよ」 と言い、母がうどんを小さい丼によそいました。明るい電灯の下でみんなでうどんを食べました。季節的には12月の初めころだったと思います。 『皆さんでどうぞ!』 という言葉とともに、ケンタくんのお父さんお母さんから、食べ物がたくさん入った箱を預かってきていました。 私は兄二人の下の妹なので、自分より年下の弟ができた…