目が合ってしまったら、反射的に手に入れてその日のメニューが決まってしまう食材がある。松岡家特有なのかそうでないのかは分からない。 死んだ母親にとって、それは「イカ」だったらしい。 「今日、買い物行ったらイカの奇麗なん売っとってん。」 夕飯の食卓にソレを並べるときの常套句だ。出てくるのは、子芋と一緒に煮たやつかカレー粉炒め。新鮮やったら刺身と違うんか?子供ながら疑問を持っていたことを覚えている。 そんな母にしてこの子あり。オレの場合も大したことは無い。 スーパーで段ボール箱を開けっぱなしにして並べられた特売品、「ジャガイモ、タマネギ、ニンジン3つ100円」を見た瞬間に、その夜のメニューはカレーに…