昭和から平成を経て令和になり、昭和は遠くなる一方だ。日中戦争、太平洋戦争という戦争の時代だった昭和。そして、敗戦。70数年前の人々はどんな生活を送っていたのだろう。かくたえいこ(角田栄子)さんの児童向けの本『さち子のゆびきりげんまん』(文芸社)は、混迷の時代に生きた母と娘の姿が詩情豊かに描かれている。どんなに貧しくとも前を向いて歩む母と娘。「ゆびきりげんまん」はどんな意味が込められているのか。 物語の舞台は昭和20年代の栃木県の農村。小学校入学が1年後に迫ったさち子は、お母ちゃんとともに足利市の家を出てお母ちゃんの実家(農家)がある豊郷村(川俣)に戻り、2人で生活を始める。「キンカン」「柿の実…