子どものころロボトミー(前頭葉白質切截術)を施術された米国男性の手記『ぼくの脳を返して:ロボトミー手術に翻弄されたある少年の物語』(ハワード・ダリー著、2009年、WAVE出版)を読んだ。 全体としてロボトミーの非人間性は野蛮でおぞましいとしか言いようがなく、手記としては自分の人生と家族のあれこれについて枝葉末節にわたり過ぎている気もするが、少しばかり小説『こちらあみ子』(今村夏子著、2014年、ちくま文庫)に似ていると思った。 定型的でない子どもの言動によって元々の家族の問題が増悪し、まわりの大人たちはその問題には対処せず子どもの方を厄介払いして済ますところが。どちらも当の子どもの視点から書…