『東京無国籍少女』&『血ぃともだち』 いまの押井守監督の実写映画を観ると、「なぜこんな陰惨な映画を平気で作れるのだろうか」という思いになる。 U-nextで仕事がてら、見過ごしていた『東京無国籍少女』と『血ぃともだち』を流し見していた。まるでボクシングの元世界チャンピオンが中年になり復帰し、1ラウンドも動けず、息切れしながら闘っているかのような映画だ。しかも恐ろしいことに、その元世界チャンピオンは自分では判定勝利を確信しているらしいのである。 その陰惨さは巨匠の晩期の作品が持つ弛緩とも違う。単純に「これは映画になっていないのではないか」という次元だ。恐ろしいことに、すべてのカットが「これは映画…