市村崑監督作。夏目漱石の『こゝろ』が原作、森雅之が先生、安井昌二が私、新珠三千代がお嬢さん。やけに芝居臭い演出と思ったが批評家の受けは良かったそう。確かに、先生の遺書の場面になってからは面白かった。だが襖を開けるシーンは絶対に2度必要であった。 小説を読んだのは中学生の砌だったと思う。高島屋の「自由書房」で買った岩波文庫版。高校生の時にも国語科の授業で読んだ。文章が平易・明晰。話も浪漫的で親しみ易い。それに読む度に新しい印象を抱く。この小説が永く愛される所以であろう。 Kの死については随分と考えたが、結局思うのは、お嬢さんの件に関わらず、Kは近く自殺したろうという事だ。だから私は、先生が罪の意…