朝、畑でインゲンのお手入れをしていた。たまたま立ち上がったとき、きれいに整えられた髪にマスクをした女性が、杖を右手にゆっくりこちらへ歩いてくるのが見えた。 ふっくらとした顔。一歩ごとに、何かを確かめるような歩み。 近づいてきて、ほんの少しの躊躇。そして、最初のひと言。「ごめんなさいね」 その声が、足音と同じゆったりした間隔で届く。もう一歩、また一歩。「ごめんなさいね」 「いい畑ですね。ちょっと見せてくださいな」「ここ、大根があったんですけど終わっちゃったんですよ」「それなら、これから秋大根ですね」「あー、なすも」「はい、インゲンもなってます」これは、つるなしなので、棒を立てなくても育つんですよ…