優れた小説とは何だろう。頭に浮かんだのは「豊かさ」だった。多様な解釈が成り立つ作品は奥深い。宮島未奈の最新作「成瀬は都を駆け抜ける」もまた、さまざまに読み解くことができる重層的な作品だ(以下、一部ネタバレあり)。 成瀬シリーズの第1作「成瀬は天下を取りにいく」、第2作「成瀬は信じた道をいく」はいずれも滋賀県大津市が舞台。第3作の本作では京都が主な舞台となっている。京大生になった成瀬は、新たな出会いを重ねて人脈を築いていく。 成瀬シリーズには実在する学校や企業、商品などの名前がバンバン登場する。それゆえ、ご当地小説と解釈することもできるだろう。 作品にゆかりのある場所を訪れる「聖地巡礼」も盛んに…