なかにし礼をはっきり意識したのは、テレビドラマ「兄弟~兄さん、お願いだから死んでくれ~」を観てからだ。1999年3月10日にテレビ朝日の開局40周年記念スペシャルとしてドラマ化され話題となった。豊川悦司演じるなかにし礼がロクデナシの兄(北野武が演じている。こういう役をやらせたらたけしの右に出る者はいない)にこれでもかというくらい振り回されるけれど、憎んでも憎んでも憎み切れず大変な思いをする。ドラマは16年間会わなかった兄の死のシーンから始まる。「兄さん、死んでくれてありがとう」と言うなかにし礼。 そのドラマに痛く感動した僕は、以後繰り返しビデオで観ることになった。思い切って本(1998年刊行)…